おさらいPart3 国公立大学試験のしくみ
センター試験から個別試験へ
国公立大学では、多くの学部・学科がセンター試験(1次試験)と各大学の個別試験(2次試験)の成績の合計により合否を決定します(合算方法は各大学により異なります)。センター試験終了後、受験生は自己採点結果をもとにして受験大学への出願を行います。
国公立大学個別試験のシステム
- 分離分割方式
国公立大学の2次試験は各大学の募集人員を「前期日程」と「後期日程」に分けて行う「分離分割方式」となっています(一部の公立大学のみ「中期日程」を実施)。 - 出願と合否の関係
出願は前期日程から1校、後期日程から1校、中期日程から1校の最大3校が可能です。併願パターンは以下の4つです。(1)前期日程→後期日程
(2)前期日程→中期日程
(3)中期日程→後期日程
(4)前期日程→中期日程→後期日程国公立大学の個別試験の場合、「前期日程」の試験に合格し、所定の期日までに入学手続を完了すると、「中期日程」「後期日程」に出願・受験しても「中期日程」「後期日程」の学部・学科の合格者とはならない(国公立内でダブル合格は不可)という重要なルールがあります。 さらに募集人員は前期日程に偏っており、後期は競争率も高くなることから、結果として第1志望の大学・学部については前期日程で受験することが原則となります。 埼玉大学(理学部、工学部)や、山梨大学(医学部)等、一部の大学や学部で後期日程に定員を多く設定している、あるいは岐阜薬科大学のように中期日程のみというケースはあるものの、国公立大学の受験のチャンスは実質的には前期1回のみと考えた方がよいでしょう。
科目・配点
個別試験の受験科目・配点は各大学が自由に指定することができます。
- 科目
●前期…記述式の学科試験が中心となり、1~3教科の試験を課す大学が多い。難関大学ほど受験教科・科目が多くなる。
※東京大学・京都大学・一橋大学の前期日程では4教科が課される。
●後期…学力試験の教科・科目数を少なくし、総合問題・小論文、面接などを課す大学が主流となる。センター試験の得点のみで合否を決定する大学もあり。学科試験の科目別傾向としては、「外国語」は英語I・II・リーディング・ライティングが中心となり、オーラル・コミュニケーションを加える大学もあります。センター試験にリスニングが加わってからは、個別試験にリスニングを課す大学は減る傾向にあります。 「数学」の場合、理系はI・A・II・B・III・Cで、数学Bについては「数列・ベクトル」、数学Cについては「行列とその応用、式と曲線」の指定が多くみられます。文系はI・A・II・Bが主体で、数学Bについてはやはり「数列・ベクトル」がよく指定されています。 「国語」は、国語総合・現代文が主体ですが、古典を加える大学もあります。
「理科」は物理・化学・生物それぞれのI・IIを課す大学が多く、Iについては必須項目と選択項目に分かれます。
「地歴・公民」は日本史・世界史・地理の各B科目が主体となります。 - 配点
センター試験と個別試験の配点は大学・学部・学科や入試方式によってさまざまですが、特に多いのが専攻する学問に関連する教科の配点を高く設定するパター ンです。例えば理系学部では数学や理科の配点が高くなっているケースが目立ちます。また、センターと個別試験の配点比率も大学によって差があるので注意が 必要です。配点の差によって以下の3タイプに分けられます。(1)センター試験重視型
→横浜国立大学経営学部前期など
(2)センター・個別均等配点型
→大阪大学法学部前期など
(3)個別試験重視型
→東京大学前期、京都大学工学部など志望校の入試科目・配点、センター試験・個別試験の配点比率については早めにホームページなどで確認しておきましょう。大学の傾向をうまく利用して、自分の適性に合った受験をすることが大切です。
センター試験・個別試験配点パターン例
◆センター試験重視型
センター試験重視型大学の個別試験は「英語のみ」や「面接・小論文」など個別試験で差がつきにくい科目が中心です。問題集や模試を積極的に活用して、センター試験への準備を万全にしておきましょう。
◆センター・個別均等配点型
個別試験での挽回が難しいため、センター試験の得点が合否に大きく影響することとなります。センター対策の勉強を柱として、個別試験で基礎・標準レベルの問題を確実に解けるようバランスの良い学習を心がけましょう。
◆個別試験重視型
難関大学に多い配点形式です。センターで確実に得点することはもちろんですが、各大学の傾向に合わせてしっかり個別試験対策を行うことが合格へのポイントとなります。
二段階選抜
志願者数が募集人員に対して一定以上の割合を超えた場合、センター試験の成績によって 受験者を絞り込む「二段階選抜」を行う大学があります(難関大学に多く見られます)。 合格ラインに満たなかった場合、個別試験を受験する前に不合格となるので、志望校が二段階選抜をするかどうかは必ず選抜要項・募集要項などで確認しておきましょう。