石井てる美

東大卒 お笑い芸人石井てる美さん センター試験で鼻血!

東京大学工学部、東大大学院を出て、外資系コンサルタント会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに就職。すごいキャリアを経て、お笑い芸人に転じた石井てる美さんは「センター試験が人生で一番緊張した」そうです。自身の体験から受験生たちにアドバイスを送られています。

以下、石井さんのお話です。

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受験生のみなさん、石井てる美です。

 もうすぐセンター試験ですね。私も10年以上前に受けました。鼻血事件。忘れもしません。

 数学1Aで確率の問題を解いているときでした。小問が終わって検算すると「あれ? 答えが合わない」。その瞬間、鼻血がどばーって出てきたのです。たらー、じゃなくて、どばーっです。左手を鼻血の受け皿にして、右手で手を挙げて試験監督の人にカバンからティッシュを出していいかを聞きました。そしたら、そのおばちゃんが「確認しますからお待ちください」って超マニュアル人間。「おいおいこっちは1分1秒に人生かかってんだぞ」とパニックでした。

 残り時間は30~40分くらいだったか、鼻にティッシュを詰めて、がむしゃらに解きました。マークシートに血しぶきが残っちゃって、早く帰って勉強したいのに、係の人に「答案として処理できるか調べますので、残ってください」と「汚染答案」呼ばわりされて待たされたときは、またパニック。受理されなかったら東大受けられない……と泣きそうでした。

 でもね、これは結局自分が悪いんです。いつもと違うことをすると何かが狂うんですよ。数学1Aの前に「数学は頭の回転が大事」って、普段は勉強中に食べないチョコを食べたんです。試験教室内は暖房が効きすぎていて異様な暑さでした。そこにチョコ。もう、鼻血が出る「前フリ」にしか思えないですよね。だから試験では、いつも使う鉛筆、いつも着ている服、とか普段と同じことをしないとダメです。

 お笑いの舞台も一緒です。例えば、持ちネタのフリップ漫談。大きな大会だからといって、いつもより大きな画用紙を使ったとき、なぜかうまくできない。画用紙を落とす動作ひとつがいつもと違うだけで焦る。そういう空気感がお客さんに伝わるのか、いつものような笑いが起きない。でも、人間は「本番」となると、なぜかいつもと違うことをしがち。センター鼻血事件は、私が通っていた塾で毎年試験前に語り継がれる教訓になったらしいですけど、みなさんも気をつけましょう。
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現在はNHK Eテレ「おとなの基礎英語 」に出演中で、TOEIC満点もとっているそうです。