日本初? 無料で学べる大学オンライン講座-NHK

日本初? 無料で学べる大学オンライン講座-NHK

日本初 無料で学べる大学オンライン講座-NHK

誰でも無料で受講できる、日本では初めてとなるインターネットを使った大規模な大学の公開講座が始まり、初日の14日、参加大学の一つ、明治大学で学習の進め方を紹介するデモンストレーションが行われました。

公開講座は「gacco(ガッコ)」という名で、東京大学や慶應義塾大学など全国の14校が参加し、日本史や国際政治、それにファッションやアニメなど14の講座が用意されています。
講義の配信が14日から始まり、参加大学の一つ、明治大学では学習の進め方を紹介するデモンストレーションが行われました。
スクリーンには中世日本史の講座を担当する東京大学の教授が古文書の写真を織り交ぜながら教える様子が映し出されていました。
インターネットを使った大規模な公開講座は2年ほど前にアメリカで始まり、その後、急速に広がって今では世界の300を超える著名な大学が参加し、受講生も全世界に1000万人いると言われています。
講座のほとんどは英語で行われ、日本人の受講生が少ないことから、今回、日本の大学で組織した「gacco」が設立されたということで、これまでにおよそ2万人が受講の登録を済ませているということです。
受講生は1回当たり10分程度の講義を週に10本ほど視聴し、レポートを提出したり、テストを受けたりしたうえで、1か月ほどのカリキュラムを終えれば、修了証が授与されることになっています。
設立に携わった東京大学大学院の山内祐平准教授は「大学レベルの教育を大学の入学前や卒業後にも気軽に受けることができるようになったことは大きな意味がある。このような先進的な試みが社会に向けて発信されていけば、既存の大学の授業も見直されるきっかけになると思う」と話しています。

講義の進め方は

「gacco」はホームページに名前やメールアドレスなどを登録すれば、誰でも無料で講座を受けることができます。
パソコンやスマートフォン、それにタブレットで視聴できるため、通勤途中のサラリーマンでも気軽に視聴できます。
講義の1回当たりの時間は10分程度とコンパクトにまとめられています。
これは人間の集中力が持続できる長さとされているからで、映像に字幕を入れたり、図やCGを盛り込んだりするなど工夫されています。
受講生は、事前にテキストをダウンロードしておいて10分程度の講義を週に10本程度視聴します。
そして、週ごとにテストやレポートなどの課題をこなし、1か月から半年程度でのカリキュラムを終えて一定の成績をクリアすれば、修了証が授与されます。
講座には、受講生どうしが交流するネットの掲示板も用意されています。
講義で分からないところを質問して、お互いに教え合ったり、議論したりすることで理解を深めてもらうのがねらいです。
さらに「gacco」には、アメリカのオンライン講座にはない独自の取り組みがあります。
授業が一方的にならないよう教授と対面して授業を受けることができるようにしている点です。
受講生は講義の視聴やレポートの提出などで基本的な内容を学んだあと、この「対面授業」に参加して、教授と議論を行うことで、さらに学習効果を上げるという考えです。

教育機会を得る新たな手段に

オンライン講座は、世界の有名大学の授業をどこからでも無料で受講できることから、これまで授業料が高くて大学進学を諦めていた人や大学が十分に整備されていない発展途上国の若者たちが教育の機会を得る新たな手段として注目されています。
オンライン講座は、アメリカの大学で授業料が高騰し、経済的な理由から進学を諦める人が大勢出たことから、経済環境に関係なく勉学の機会を提供しようと、始まったことがきっかけでした。
現在、世界の著名な大学合わせて300校以上が参加し、受講生の数は全世界で1000万人を超えていると言われています。
アメリカ・マサチューセッツ工科大学が開いた電子回路の講座では、モンゴルの15歳の少年がトップクラスの成績を収め、大学への入学が認められました。
また、東京大学が去年、アメリカのオンライン講座で開いた宇宙物理学の講座では、パキスタンの13歳の少女が優秀な成績を残したということです。
また、大規模公開オンライン講座の普及が進んでいるアメリカでは企業が人材採用に活用するケースも出てきています。
アメリカのIT企業ではプログラマーを採用する際に講座の成績を参考にしているということです。
受講者の成績はサーバーに記録され、本人の同意があれば企業は、有料で成績優秀者の情報を手に入れることができます。
ある企業は、プログラミングの講座の受講生200人の成績を取り寄せ、最も成績のよかったブラジル人の男性を採用したということです。